第二種電気工事士を独学で目指す人向けに、学科試験と技能試験それぞれの進め方を、実施団体である一般財団法人 電気技術者試験センター(ECEE)の公表情報に基づいてまとめました。本ページの内容は2026年11月2日時点の確認です。
第二種電気工事士は、学科試験に合格(または免除)した人だけが技能試験を受けられる、2段階の試験です。独学の計画も、学科と技能を分けて立てる必要があります。
試験日程・受験手数料・合格率などの試験データはデータ総合ページにまとめています。
結論:学科は独学しやすい。技能も「型」が決まっているが、実技の練習環境は自分で作る必要がある
学科試験は、公式の過去問題が公開されており、出題分野も明確なため、独学の材料がそろっています。合格率は令和8年度上期で62.2%(直近5期は55〜62%)です。
技能試験は、候補問題13種類が事前に公表され、本番ではその中から1つが出題されます。合格基準は「欠陥がないこと」で、欠陥の判断基準も公式に公開されています。つまり技能も「何を作れるようになればいいか」が明確な試験です。
ただし、技能試験は持参した工具で実際に配線作業を行う実技です。テキストを読むだけでは合格できず、工具と練習用材料(ケーブル・器具)を自分で用意し、実際に手を動かす練習環境を作ることが独学の前提になります。この点を軽く見ると、学科を突破しても技能で止まります。
出典:電気技術者試験センター 第二種電気工事士試験案内・試験結果・候補問題
試験の仕組み(学科と技能)
学科試験
- 形式:四肢択一・50問・120分。出題は一般問題約30問+配線図問題約20問、分野は基礎理論、配電理論・配線設計、電気機器・材料・工具、施工方法、検査方法、配線図、保安法令の7分野です
- 合格基準:60点以上(100点満点)
- 実施方式:CBT方式(期間内から日時を選択)または筆記方式。なお、令和9年度からは学科は原則CBT方式へ移行することが公式に告知されています
技能試験
- 形式:持参した工具で、指定された課題を40分以内に完成させる実技試験です。材料は会場で支給されますが、工具は貸し出しがなく、電動工具は使用できません
- 合格基準:欠陥がないこと(点数制ではありません)
- 候補問題:令和8年度はNo.1〜No.13の13種類が事前に公表されています。本番では配線図と施工条件が試験問題で指定されるため、候補問題とまったく同じ条件になるとは限りません
- 受験資格:学科試験の合格者または免除者のみ。前回・前々回の学科合格者は学科が免除されるため、技能だけに集中する受験もできます
出典:電気技術者試験センター 第二種電気工事士試験案内・受験案内
独学が向いている人・向いていない人
向いている人
- 学科は、公式の過去問題を繰り返し解き、分野ごとの弱点を潰す学習ができる人
- 技能は、自宅に作業スペースを確保し、工具と材料をそろえて繰り返し手を動かせる人
- 欠陥の判断基準を読み込み、自分の作品を基準に照らして自己採点できる人
独学が負担になりやすい人
- 工具の扱い自体が初めてで、被覆の剥ぎ取りや圧着などの基本作業を動画やテキストだけでは身につけにくい人
- 練習材料をそろえる費用と置き場所の確保が難しい人
- 作品の出来を第三者に見てもらう機会がなく、欠陥に気づけないまま練習を重ねてしまうのが不安な人
勉強時間の目安について
勉強時間について、実施団体による公式統計は存在しません。電気の学習経験や工具作業の経験で大きく変わるため、本ページでは断定的な時間数は記載しません。
代わりに、次の方法で自分の必要量を見積もることをおすすめします。
- 学科は、公式の過去問題を時間を計って通しで解き、60点の基準までの差と、分野ごとの得点を測る(特に配線図問題約20問の出来を確認する)
- 技能は、候補問題を1つ選んで実際に作ってみる。40分以内に完成するか、欠陥の判断基準に照らして欠陥がないかを自己採点する
- 技能の練習量は「候補問題13種類すべてを、40分以内に欠陥なく作れる状態」が到達目標です。1問あたりの繰り返し回数から、必要な練習期間を逆算してください
教材と道具の選び方
学科の教材
- 公式の過去問題:学科・技能とも実施回の問題と解答が公式サイトで公開されています。学科の演習の中心に据えてください。
- テキスト:7分野をカバーする総合テキストを1冊決め、過去問題で間違えた分野に戻る使い方をします。配線図問題は割合が大きい(約20問/50問)ため、複線図の読み書きを扱う教材を選んでください。
技能の道具と材料(独学の要)
- 工具:受験案内では、ペンチ、ドライバー、電工ナイフ、スケール、ウォーターポンププライヤー、リングスリーブ用圧着工具の6点が指定工具として案内されています。圧着工具は規格適合品でないと圧着マークが刻印されず欠陥の対象になるため、受験案内の指定を確認して用意してください。工具は試験当日に貸し出しがなく、試験中の貸し借りもできません。
- 練習用材料:ケーブルや器具は繰り返し使うと傷むため、候補問題13種類を複数回練習できる量の材料が必要です。工具と材料は受験手数料とは別に費用がかかります。金額は購入先やセット内容で変わるため本ページでは断定しませんが、独学の総費用を見積もる際は必ず含めてください(費用の内訳は費用・給付金のページ、材料付きの講座は比較ページ参照)。
- 候補問題と欠陥の判断基準:どちらも公式に公開されています。練習の前に欠陥の判断基準を読み、「何をしたら欠陥か」を先に把握してから手を動かすのが効率的です。
勉強の進め方(ステップ)
学科
- テキストで7分野を一巡する:計算問題(基礎理論・配電理論)は手順を型で覚える
- 公式の過去問題を周回する:分野ごとの得点を記録し、弱い分野をテキストに戻って潰す
- 配線図問題を重点的に固める:単線図から複線図への展開を、自分で描けるようになるまで繰り返す(技能試験の基礎にもなります)
- 通し演習で時間配分を確認する:120分・50問の感覚を作る
技能
- 欠陥の判断基準を先に読む:合格条件は「欠陥がないこと」です。基準を知らずに作る練習は非効率です
- 単位作業を部品練習する:被覆の剥ぎ取り、リングスリーブの圧着、差込形コネクタの接続、ランプレセプタクルやスイッチへの結線など、候補問題に共通する基本作業を個別に繰り返す
- 複線図を描いてから作る:候補問題ごとに、単線図から複線図への展開を書く手順を固定します
- 候補問題を通しで練習する:13種類を順に、40分を計って作る。完成後に欠陥の判断基準で自己採点し、欠陥の種類を記録する
- 時間を短縮する:全問が40分以内に収まるようになったら、見直しの時間を残す配分に調整する。未完成は欠陥とみなされます
つまずきやすい点
- 技能の「完成したのに不合格」:回路が電気的に正しくても、施工条件(電線の色、接続方法など)と異なれば欠陥と判断されます。見た目の完成度ではなく、判断基準への適合が合否を決めます。
- 圧着工具の規格違い:規格に適合しない圧着工具では圧着マークが刻印されず、欠陥の対象になります。購入前に受験案内の指定を確認してください。
- 学科の配線図問題:50問中約20問を占めます。知識の暗記だけで進めると、ここで得点が伸びません。
- 練習材料の不足:材料は繰り返し使えません。13種類×複数回の練習量を見込まずに材料を買うと、直前期に練習が止まります。
- 学科と技能の期間の空き:学科合格後に技能までの期間が空くと、複線図や作業の感覚が落ちます。学科の学習後半から技能の単位作業を並行させると、間隔のロスを減らせます。
独学と通信講座の切り分け
- 独学で進めやすいケース:工具作業の経験がある場合/自宅に練習環境を作れる場合/欠陥の判断基準を使った自己採点ができる場合
- 通信講座を検討したいケース:技能の練習材料と工具の準備を一式そろえたい場合(本科コースに技能練習材料が含まれる講座があります)/作業手順を動画で確認しながら学びたい場合/学科免除で技能対策だけを効率化したい場合(技能専用コースを提供する講座もあります)
費用と学習スタイルの比較は、通信講座比較ページにまとめています。
よくある質問
Q. 学科だけ、技能だけの独学はできますか?
A. 学科免除の対象者(前回・前々回の学科合格者など)は、技能試験のみの受験になります。その場合は技能の練習に集中する計画が成り立ちます。受験手数料は学科・技能を分けず一括で、免除者も同額です。
Q. 本物の過去問は手に入りますか?
A. 学科・技能とも、実施回の問題と解答が公式サイトで公開されています。技能は候補問題13種類と欠陥の判断基準も事前に公表されています。
Q. 工具や材料は自分で買わなければいけませんか?
A. 工具は持参が必須で、貸し出しはありません。練習用の材料も自分で用意します。本番の材料は会場で支給されます。独学の費用には、受験手数料(ネット申込11,100円/書面申込12,500円、いずれも非課税)のほかに、工具と練習材料の費用が加わる前提で見積もってください。
Q. 技能試験はどのくらい難しいですか?
A. 合格率は令和8年度上期で73.4%です。ただし受験者は学科合格者に限られるため、学科の合格率(62.2%)と単純には比べられません。候補問題が事前公表される分、対策の方向は明確ですが、実技の練習量がそのまま結果に表れます。
当ページの情報は2026年11月2日時点のものです。令和9年度の日程は公式公表後に、学習を始める前に必ずご確認ください。
出典(すべて2026-11-02確認):
- 電気技術者試験センター 第二種電気工事士試験案内(令和8年度の日程、受験手数料=ネット11,100円/書面12,500円・非課税、学科CBT・筆記の日程、技能試験日):https://www.shiken.or.jp/construction/second/
- 電気技術者試験センター 試験結果(令和8年度上期 学科62.2%・技能73.4%ほか直近5期の推移):https://www.shiken.or.jp/construction/second/result/
- 電気技術者試験センター 第二種電気工事士試験 受験案内(指定工具6点、工具の貸出なし・電動工具の使用不可、圧着工具の規格指定、学科免除の対象者):令和8年度下期 受験案内に基づく(2026-11-02に内容を照合)
- 候補問題13種類(令和8年度 No.1〜No.13)と欠陥の判断基準の事前公表、学科の出題内訳(一般問題約30問+配線図問題約20問)と合格基準(学科60点以上/技能は欠陥がないこと)はAページ台帳(電気技術者試験センター公式案内、2026-10-31確認)に基づく。
※勉強時間について実施団体の公式統計はないため、断定的な時間数は記載していない(Aページと同方針)。
※工具・練習材料の価格は販売店やセット内容で変動し、実施団体の公式価格ではないため、金額は記載していない。
※令和9年度の日程は2026-11-02時点で未公表。学科の原則CBT化は公式告知に基づく。



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