FP技能検定2級・3級を独学で目指す人向けに、教材の選び方と勉強の進め方を、実施団体である日本FP協会と金融財政事情研究会(きんざい)の公表情報に基づいてまとめました。本ページの内容は2026年11月2日時点の確認です。
試験日程・受検手数料・合格率などの試験データはデータ総合ページにまとめています。
最初に:独学の計画は「受ける団体」を先に決める
FP技能検定には実施団体が2つあります。日本FP協会と、金融財政事情研究会(きんざい)です。学科試験は両団体で共通問題ですが、実技試験は団体ごとに科目と合格基準が異なり、合格率も大きく異なります。
独学では、テキストや問題集の実技対策が「どちらの団体の、どの実技科目に対応しているか」が重要になります。教材を買う前に、受ける団体と実技科目を決めてください。
- 日本FP協会:実技は「資産設計提案業務」のみ。合格基準は2級・3級とも60点(100点満点)
- きんざい:2級は個人資産相談業務・中小事業主資産相談業務・生保顧客資産相談業務・損保顧客資産相談業務から選択、3級は個人資産相談業務・保険顧客資産相談業務から選択。合格基準は2級・3級とも30点(50点満点)
出典:日本FP協会 受検要綱、きんざい 試験案内
結論:独学は可能。公式の公表問題で演習の土台が作れる
FP技能検定は、受験資格の面でも教材環境の面でも、独学で合格を目指せる試験です。両団体とも、試験問題を公式に公開しているためです。
- 学科・実技の公表問題:CBT化後は、年1セット分の問題と模範解答が毎年5月下旬頃に両団体から公表されます(全出題の網羅ではありません)。ペーパー試験時代の分は、実施回ごとに公開されています。
- 学科は共通問題:どちらの団体で受ける場合も、学科の学習内容は同じです。実技だけが団体別になります。
ただし、FPは税制・社会保険などの法令分野の比重が大きく、法令の基準日が毎年切り替わります。古い教材の使い回しが効きにくい点が、独学の最大の注意点です(後述)。
出典:日本FP協会 受検要綱・試験問題公表案内、きんざい 試験案内
独学が向いている人・向いていない人
向いている人
- 6分野(ライフプランニングと資金計画、リスク管理、金融資産運用、タックスプランニング、不動産、相続・事業承継)を、テキストと問題演習の往復で少しずつ積み上げられる人
- 通年CBTで受験日を自分で決め、締切を作ってペースを管理できる人
- 計算問題(係数を使った資金計画、利回り、譲渡所得など)を、手を動かして反復できる人
独学が負担になりやすい人
- 2級の受検資格(3級合格・実務経験2年以上・AFP認定研修修了など)がなく、学習計画と資格取得の順序で迷っている人
- 法令改正の多い分野で、自分の教材が最新かどうかを判断するのが負担な人
- 実技の事例問題(キャッシュフロー表や提案書形式の問題)の解き方を、解説だけでは身につけにくい人
試験の難易度の目安(公式データから・団体別)
合格率は団体で大きく異なるため、合算せずに分けて示します。最新の公式集計(2026年4〜8月実施分)では、2級学科は日本FP協会50.36%/きんざい28.57%、3級学科は日本FP協会86.23%/きんざい51.33%でした。学科は共通問題・共通の合格基準(36点以上/60点満点)ですが、受検者層の違いなどから結果に差が出ています。原因について両団体からの公式な説明は公表されていません。
3級は独学の入門として十分に狙える水準です。2級は学科・実技とも計算と事例処理の比重が上がり、3級の延長で軽く見積もらないことが大切です。
出典:日本FP協会 試験結果、きんざい 試験結果
勉強時間の目安について
勉強時間について、実施団体による公式統計は存在しません。お金に関する実務経験や学習歴で大きく変わるため、本ページでは断定的な時間数は記載しません。
代わりに、次の方法で自分の必要量を見積もることをおすすめします。
- 受ける団体の公式公表問題を、学科は時間を計って1セット解く(現在地の測定。学科は共通問題のため、どちらの団体の公表分でも測定に使えます)
- 6分野ごとに得点を記録し、合格基準36点(60点満点)までの差と、弱い分野を確認する
- 実技は、受ける団体の科目の公表問題を解き、合格基準(日本FP協会60点/きんざい30点)との差を測る
- テキストの分量と残り期間から逆算し、受験日を予約して締切を固定する(予約は受検日の3日前まで可能で、受検月の約4か月前の月初から受け付けています)
教材の選び方
まず確認すること:法令基準日と教材の対応年度
FPの試験問題は、法令基準日時点で施行されている法令を基準に作られます(日本FP協会の要綱に明記)。税制や社会保険制度は改正が多く、公表問題や市販教材が、自分の受ける試験の法令基準日に対応しているかを必ず確認してください。たとえば、毎年5月下旬頃に公表される公表問題は、その公表時点の前年度の法令基準で作られた問題です。問題の形式や難易度を測る材料にはなりますが、法令数値の暗記にそのまま使うと、改正前の数値を覚えてしまうおそれがあります。
出典:日本FP協会 試験要綱(法令基準日)
教材の組み立て方
- テキスト:受ける級と法令基準日に対応した年度版を選んでください。6分野を1冊で扱う総合テキストが独学の基本形です。
- 問題集:テキストと同シリーズの問題集で分野別の演習量を確保します。学科は四答択一形式に慣れることが得点に直結します。
- 公式の公表問題:直前期の通し演習に使います。CBT化後の公表は年1セットで全出題の網羅ではないため、演習量の中心は市販問題集に置き、公表問題は「本試験の水準確認」と位置づけてください。
- 実技対策:受ける団体の科目に対応した教材かどうかを必ず確認してください。日本FP協会の実技は資産設計提案業務のみ、きんざいは選択科目ごとに対策が分かれます。対応していない教材で実技を勉強しても、本番の形式とずれます。
- 電卓について:本番のCBTでは私物の持ち込みはできず、計算は試験画面上に表示される計算機を使います(日本FP協会の要綱)。学習時から、画面上の計算機に近い操作感で計算問題を解く練習をしておくと、本番で戸惑いません。
勉強の進め方(ステップ)
共通の流れ
- 受ける団体と実技科目を決める:教材選びの前提を固定する
- 学科6分野を一巡する:テキストを通読しながら、分野ごとに問題集で確認する
- 計算問題を型で覚える:6つの係数、住宅ローン、金融商品の利回り、所得税・相続税の計算手順は、解法のパターンを決めて反復する
- 実技の事例形式に慣れる:受ける団体の公表問題と教材で、資料読み取り型の問題の進め方を身につける
- 公表問題で通し演習:学科は制限時間(2級120分・3級90分)を通しで計り、36点の基準との差を確認する
3級
学科・実技とも基礎知識の確認が中心です。まず学科6分野の全体像をつかみ、実技は受ける団体の科目の形式に沿って演習します。
3級の合格は、2級の受検資格のひとつになります。2級まで見据える場合は、3級の学習時点で分野別の弱点を記録しておくと、2級の計画にそのまま使えます。
2級
受検資格が必要です。①3級合格、②FP業務の実務経験2年以上、③AFP認定研修の修了、④金融渉外技能審査3級の合格、のいずれかを先に満たしてください。
学科は3級の知識を土台に、税制・相続などの計算と応用が増えます。実技(日本FP協会は90分・40問、きんざいは科目別)は事例処理の速度が問われるため、時間を計る演習の比重を上げてください。
学科・実技の一方に合格した場合は、翌々年度末まで他方が免除される「一部合格」の仕組みがあります。両方を同日に受けず、片方ずつ集中する計画も成り立ちます。
つまずきやすい点
- 法令・数値の年度ズレ:税制改正や社会保険の数値は毎年変わります。古いテキストや古い公表問題の数値をそのまま覚えるのが、独学で最も多い失点要因のひとつです。
- 団体選びと教材のミスマッチ:実技の科目が団体で異なります。「FP2級対策」とだけ書かれた教材が、自分の受ける団体の実技に対応しているかは個別に確認が必要です。
- 計算問題の後回し:学科・実技とも計算問題は配点の柱です。用語の暗記だけで進めると、後半で時間が足りなくなります。
- 6分野の偏り:学科は6分野からまんべんなく出題されます。得意分野の深掘りより、苦手分野を基準点レベルまで引き上げる配分が有効です。
- 2級の受検資格の確認漏れ:資格がないまま2級の学習だけ進めると、申込時点で足止めされます。学習開始前に資格ルートを確認してください。
独学と通信講座の切り分け
- 独学で進めやすいケース:3級を目指す場合/お金に関する実務や学習の基礎がある場合/公表問題と市販教材で演習量を確保できる場合
- 通信講座を検討したいケース:2級の受検資格がない場合(AFP認定研修の対象講座や、修了で受検資格が得られる講座があり、講座修了自体が受検への近道になります)/実技の事例問題の解き方を体系的に学びたい場合/法令改正への対応を教材の改訂に任せたい場合
費用と学習スタイルの比較は、通信講座比較ページにまとめています。
よくある質問
Q. 日本FP協会ときんざい、独学ではどちらがおすすめですか?
A. 学科は共通問題なので、学習内容は同じです。違いは実技の科目と合格基準、合格率の傾向です。受けたい実技科目で選ぶのが基本で、教材の対応状況もあわせて確認してください。
Q. 本物の過去問は手に入りますか?
A. 両団体が公式に公表しています。CBT化後は年1セット分の問題・模範解答が毎年5月下旬頃に公表されます(全出題の網羅ではありません)。ペーパー試験時代の分は実施回ごとに公開されています。
Q. 学科と実技は別々の日に受けてもいいですか?
A. 可能です。一部合格の制度があり、一方に合格すれば翌々年度末まで他方が免除されます。予約も科目ごとに管理できます。
Q. 3級に合格していなくても2級の独学を始められますか?
A. 学習自体は始められますが、2級の受検には資格(3級合格、実務経験2年以上、AFP認定研修修了、金融渉外技能審査3級合格のいずれか)が必要です。自分の資格ルートを先に確定させてください。
Q. 受検手数料はいくらですか?
A. 2級は学科5,700円+実技6,000円=11,700円、3級は学科4,000円+実技4,000円=8,000円です(両団体同額・非課税、決済手数料は別途)。詳細はデータ総合ページをご覧ください。
当ページの情報は2026年11月2日時点のものです。学習を始める前に、受ける団体の最新要綱を必ずご確認ください。
出典(すべて2026-11-02確認):
- 日本FP協会 試験要綱(学科・実技の時間と問題数、合格基準=学科36点以上・実技60点以上、法令基準日、受検資格、一部合格の免除期限、受検手数料、CBTでの私物持込不可と画面上の計算機):https://www.jafp.or.jp/exam/outline/3fp.shtml
- 日本FP協会 試験日程(2026年度の実施月と休止期間):https://www.jafp.or.jp/exam/schedule/
- 日本FP協会 試験結果(日本FP協会分の合格率推移):https://www.jafp.or.jp/exam/syutoku/
- きんざい FP技能検定案内(実技の選択科目、合格基準=実技30点/50点):https://www.kinzai.or.jp/ginou/fp/2kyu/index.html
- きんざい 試験結果(きんざい分の合格率推移):https://www.kinzai.or.jp/ginou/fp/result-fp
※合格率は団体ごとに分離して記載し、合算した数値は使用していない。きんざいの最新2期の数値は台帳作成時に公式結果ページの引用を相互確認した値で、原表の再確認が推奨されている点はAページと同様。
※勉強時間について両団体とも公式統計はないため、断定的な時間数は記載していない(Aページと同方針)。



コメント