通関士の費用まとめ|受験手数料・合格後の確認と教育訓練給付金

費用・給付金

通関士の取得にかかる費用を、受験手数料・教材費・講座費用・合格後の手続きに分けて、財務省・税関(Japan Customs)の公表情報に基づいてまとめました。本ページの内容は2026年11月2日時点の確認です。

試験日程・合格率などの試験データはデータ総合ページにまとめています。

→ 通関士の試験日程・合格率・申込方法

結論:通関士は「合格後の費用」がほぼ発生しない資格

通関士の費用構造は、登録型の資格(宅建など)と大きく異なります。

  • 受験まで:受験手数料 書面申請3,000円/NACCS電子申請2,900円(必須)+受験票用の切手295円分+教材費・講座費用(任意)
  • 合格後:通関業務に従事するには勤務先の通関業者の申請に基づく財務大臣の「確認」が必要ですが、この確認に手数料はかかりません(税関の手続案内で「手数料なし」と明記)。宅建のような登録手数料・免許証交付手数料・登録免許税に相当する仕組みは、通関士には公式に確認できません

つまり、公的手数料として確実にかかるのは受験時の数千円のみです。費用計画の中心は、教材費と講座費用の選び方になります。

受験手数料の内訳

  • 書面申請:3,000円。受験手数料として3,000円分の収入印紙を、過不足なく願書の所定欄に貼って納付します(現金・郵便切手・都道府県の収入証紙などは不可)。収入印紙がない、または金額に過不足のある願書は受け付けられません。
  • NACCS電子申請:2,900円。申込内容に不備がなければNACCSから納付情報が配信され、期間内に電子納付します。期間内に納付しないと申込み自体が無効になります。
  • 受験票用の切手:295円分。受験票は特定記録郵便で送付されるため、受験票に295円分の切手を貼る必要があります(書面・NACCSのいずれの提出でも同様)。ただし、試験科目の一部免除申請を同時に行う場合は受験票への貼付は不要で、代わりに返信用封筒の同封が必要です。

出典:税関「第60回通関士試験受験案内」

注意点は次のとおりです。

  • 受験手数料は、試験を受けなかった場合でも還付されません(通関業法第26条第2項。受験案内に明記)。
  • 試験は年1回だけで、申込期間は約2週間(第60回は2026年7月21日〜8月4日)と短いです。不合格の場合は翌年の試験を再受験することになり、その都度手数料がかかります。
  • 書面申請は第60回から原則郵送のみです。受験票用の写真(提出前1年以内に撮影、縦4cm×横3cm)の用意も必要です。

教材費(公式に無料で使えるもの)

通関士には実施団体が発行する「公式テキスト」はありませんが、教材費を抑える公式の材料があります。

  • 公式の過去問題:無料。税関のサイトで、第57回〜第60回の試験問題がPDFで公開されています。第57回〜第59回は正答と配点も公開されているため、科目ごとの得点と合格基準(目安60%)との距離を測れます。第60回の正答・配点は合格発表(2026年11月10日予定)の際に公表される見込みです。

市販テキスト・問題集の価格は出版社・年度版ごとに異なるため、本ページでは記載しません。選び方は独学ガイドで解説しています。

→ 通関士の独学ガイド

なお、通関士の出題法令は「試験年の7月1日現在で施行されているもの」が基準です。旧年度のテキストを使い回すと法改正に対応できず、再受験(翌年・手数料が再度必要)のリスクが上がります。教材は受験年度版を選んでください。

講座費用について

通信講座の料金は事業者・コースごとに異なるため、各講座の料金・教材形式・サポート内容の比較は通信講座比較ページにまとめています。給付金(次項)の対象講座かどうかで実質負担が変わるため、あわせて確認してください。

→ 通関士の通信講座比較

教育訓練給付金:対象になるのは「指定講座」だけ

制度の仕組み(一般教育訓練給付金)

教育訓練給付金は、雇用保険の制度です。厚生労働大臣の指定を受けた講座を受講し、修了した場合に、支払った受講費用の一部がハローワークから支給されます。通関士講座で関係するのは、主に「一般教育訓練給付金」です。

  • 給付額:受講費用の20%(上限10万円)。ただし給付額が4千円を超えない場合は支給されません
  • 支給の条件は「講座の修了」であり、試験の合否ではありません
  • 申請期限:修了日の翌日から1か月以内に、管轄のハローワークへ申請が必要です

出典:ハローワーク「教育訓練給付金」/厚生労働省「教育訓練給付金」

対象になる人・ならない人

受講開始日時点で、次のいずれかを満たす必要があります。

  • 雇用保険の被保険者で、雇用保険に加入していた期間が3年以上(初めて給付を受ける場合は1年以上で可)
  • 離職者で、離職日の翌日から受講開始日までが1年以内、かつ雇用保険に加入していた期間が3年以上(初めての場合は1年以上で可)

対象にならない主なケース:

  • 雇用保険の加入期間が不足している
  • 受講開始日の前日から3年以内に、教育訓練給付金の支給を受けたことがある
  • 講座が厚生労働大臣の指定を受けていない(次項)
  • 講座を修了できなかった場合

自分が対象かどうかは、受講開始前にハローワークで「支給要件照会」をすると確認できます。

資格ではなく「講座ごと」に指定が違う

給付の対象かどうかは資格単位ではなく講座単位で決まります。通関士講座では、2026年11月2日時点で、各社の公式ページで次の講座が一般教育訓練給付金の対象として表示されていることを確認しました(Bページ=通信講座比較の確認結果)。

  • フォーサイト:スピード合格講座
  • ユーキャン:通関士講座
  • アガルート:入門カリキュラム(入門総合講義は対象外)
  • TAC:総合本科生Sの対象コース
  • LEC:初学者コース(必勝コースは実践力PowerUpの2講座分を除いた金額が対象)

一方で、すべての通関士講座が対象というわけではありません。申し込む前に、必ず公式の検索システムで、その講座が指定を受けているかを確認してください。指定は毎年4月と10月に更新されます。

合格後の費用:財務大臣の「確認」は手数料なし

合格しただけでは、通関士として通関業務に従事できません。従事するには、勤務先の通関業者の申請に基づく、財務大臣の「確認」を受ける必要があります(通関業法第31条)。

確認手続きの内容と費用

手続き 手数料 備考
財務大臣の確認(通関業法第31条第1項) なし 申請者は勤務先の通関業者。提出先は許可を受けた税関の通関業監督官。標準処理期間は原則として受付後15日以内

出典:税関 手続案内「通関業法第31条第1項の規定に基づく、通関士試験合格者を通関士として通関業務に従事させる際の確認手続」(手数料について「There is no fee.(手数料なし)」と明記)

申請の添付書類は、合格証書の写し、身分証明・身元保証に関する書類、欠格事由に該当しない旨の誓約書、写真などです。申請は本人が行うのではなく、勤務先の通関業者が行います。

出典:税関「第60回通関士試験受験案内」Ⅲ-4「財務大臣の確認」、税関 手続案内(上記)

宅建のような「登録制度」はない

通関士には、資格登録の手数料、免許証の交付手数料、登録免許税に相当する公的費用は、公式情報では確認できません。第60回受験案内にも「登録」に相当する手続きの記載はなく、合格後の公的手続きは上記の「確認」のみです。「合格後に数万円の登録費用がかかる」という前提で予算を組む必要はありません。

合格証書について

合格者には、通関士試験合格証書が郵送されます(送付先は願書の「国内住所(居所)」欄の住所)。第60回の場合、合格を確認したのに令和8年12月4日(金)までに到着しない場合は、受験地を管轄する税関の通関業監督官へ問い合わせることとされています。

なお、合格証書の再交付の可否や手数料は、公式情報で確認できませんでした。紛失した場合の扱いは、管轄の税関に直接確認してください。本ページでは再交付できる前提の記述はしません。

出典:税関「第60回通関士試験受験案内」

合格は「通関業者に勤務していること」が前提

通関士として業務に従事する形は、通関業者の従業員として確認を受けるものです。合格しても、通関業者に勤務していなければ確認を受ける場面は生じません。合格自体に有効期限の定めは受験案内では確認できないため、就職・転職のタイミングで確認手続きを行う形になります(有効期限の有無は、必要になった時点で税関の最新案内で確認してください)。

費用を抑える現実的な方法

  1. 公式の過去問を演習の中心にする:第57回〜第59回は正答・配点まで無料公開されています。解説は市販問題集や講座で補う形にすると、教材費を絞れます。
  2. NACCS申請で100円安く:受験手数料はNACCS電子申請が2,900円で書面より100円安くなります。ただしNACCSは事前の利用申込みが必要で、受験票は別途書面で提出が必要です。手間との兼ね合いで選んでください。
  3. 教材は受験年度版を1セットに絞る:出題法令は試験年の7月1日現在のものが基準で、旧年度版は使えません。中古の旧版を買う節約は、再受験リスクと釣り合いません。
  4. 講座を使うなら給付金の対象講座から選ぶ:対象講座なら受講費用の20%が戻ります(上限10万円、条件あり)。
  5. 勤務先の資格取得支援制度・資格手当を確認する:受験料を補助する制度や、通関士の資格手当を設けている通関業者・物流会社があります。金額や条件は会社ごとに異なるため、就業規則や人事の案内で確認してください。

よくある質問

Q. 受験から通関士として働くまで、公的手数料の合計はいくらですか?

A. 受験手数料(書面3,000円/NACCS 2,900円)と受験票用の切手295円分のみです。合格後の財務大臣の「確認」に手数料はかからず、登録手数料や免許証交付手数料に相当するものも公式には確認できません。教材費・講座費用は各自の選択に応じて別途かかります。

Q. 合格後に登録しないと、合格は取り消されますか?

A. 通関士には宅建のような「登録」制度自体がありません。合格後に必要なのは、通関業者に勤務して通関業務に従事する際の財務大臣の「確認」です。確認を受けていない間も、合格が取り消されるという仕組みは受験案内では確認できません。

Q. 教育訓練給付金は、独学でも使えますか?

A. 使えません。対象は厚生労働大臣の指定を受けた「講座」を受講・修了した場合のみです。

Q. 受験手数料は返ってきますか?

A. 試験を受けなかった場合でも還付されません(通関業法第26条第2項)。

Q. 合格証書を紛失したら再交付できますか?

A. 再交付の可否・手数料は公式情報で確認できませんでした。受験地を管轄する税関の通関業監督官に直接確認してください。

当ページの情報は2026年11月2日時点のものです。手数料や給付制度は変更される場合があるため、申込・申請前に税関・厚生労働省の最新案内を必ずご確認ください。

出典

出典(すべて2026-11-02確認):

  • 税関「第60回通関士試験受験案内」(受験手数料は書面3,000円分の収入印紙/NACCS 2,900円を電子納付、受験票には特定記録郵便料金分の切手295円分を貼付(一部免除同時申請時を除く)、手数料は受験しなくても還付しない=通関業法第26条第2項、合格証書は郵送・令和8年12月4日までに未着の場合は管轄税関へ問合せ、財務大臣の確認=Ⅲ-4):https://www.customs.go.jp/tsukanshi/60_shiken/60_annai.pdf
  • 税関 手続案内「通関業法第31条第1項の規定に基づく確認手続」(申請者は通関業者、提出先は許可税関の通関業監督官、添付書類は合格証書の写し等、手数料は「There is no fee.」、標準処理期間は原則受付後15日以内):https://www.customs.go.jp/english/procedures/m49080/jh.htm
  • 税関「第60回通関士試験(令和8年)」(申込期間2026年7月21日〜8月4日、合格発表2026年11月10日予定):https://www.customs.go.jp/tsukanshi/60_shiken.htm
  • 税関「第60回通関士試験の試験問題について」(第57回〜第60回の問題を公開。第60回の正答・配点は2026-11-02時点で未掲載):https://www.customs.go.jp/tsukanshi/60_shiken/60shikenkaito.html
  • 税関「第59回通関士試験の各試験科目における配点及び正答」(第57回〜第59回は正答・配点を公開):https://www.customs.go.jp/tsukanshi/59_shiken/59shiken_seikai.pdf
  • ハローワーク「教育訓練給付金」(一般教育訓練:経費の20%・上限10万円、支給対象者の要件、4千円を超えない場合は不支給、修了後1か月以内の申請):https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_education.html
  • 厚生労働省「教育訓練給付金」(3区分の概要、検索システムで指定講座を確認可能):https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/kyouiku.html
  • 教育訓練講座検索システム:https://www.kyufu.mhlw.go.jp/
  • Bページ(通信講座比較)の確認結果:フォーサイト スピード合格講座、ユーキャン 通関士講座、アガルート 入門カリキュラム、TAC 総合本科生Sの対象コース、LEC 初学者コース(必勝コースは一部金額のみ)が一般教育訓練給付金の対象として各社公式ページに表示あり。

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